ECサイトの運営を任されたものの、受注の確認に商品登録、問い合わせへの返信、数字のチェック……とやることが次々に湧いてきて、「EC運用の業務は、全部でいったいどれだけあるのか」と感じていませんか?毎日手いっぱいに動いているのに、売上につながる改善までは手が回らない。そんな状態が続くと、何から整理すればいいのかさえ分からなくなってきます。
まず結論から言うと、ECサイト運用の業務は「日常運営・売上改善・技術保守」の3領域と「日次・週次・月次」の頻度で棚卸しすると、全体像が一気につかめます。この記事では、ECサイトの構築40社以上・運用保守20サイト以上を支援してきた弊社が、EC運用の現場で実際に発生する業務を隠さず全部並べたうえで、「どの業務を自社に残し、どの業務を外に任せてよいか」が分かる内製・外注の分担早見表までお見せします。カートの種類を問わず使える内容です。
本記事の内容
ECサイト運用の業務内容と内製・外注の分担
1.まず結論: 業務は「3領域×頻度」で棚卸しする
2.業務内容の全一覧(3領域)
3.運用の1日・1週間・1ヶ月のリズム
4.全部を1人でやると起きる3つの詰まり方
5.内製・外注の分担早見表
6.分担を決める3ステップ
7.コマースラボの場合
8.まとめ・よくある質問
まず結論: EC運用の業務は「3領域×頻度」で棚卸しすると全体がつかめる
ECサイト運用の業務は、大きく次の3つの領域に分かれます。日常運営(注文を受けてお客様に届け、対応する仕事)、売上改善(数字を見て課題を見つけ、施策を打つ仕事)、技術保守(サイトを安全に動かし続ける仕事)です。そしてそれぞれの業務には、毎日やるもの・週1回で足りるもの・月1回まとめて向き合うもの、という頻度のリズムがあります。
「業務が多すぎて手が回らない」と感じているなら、先にお伝えしたいことがあります。それはあなたの能力の問題ではなく、業務の棚卸しをしていないことが原因だということです。担当1名や他業務との兼任でECを運営していると、目の前の作業に追われて、全体像を眺める時間がそもそも取れません。全体が見えていないと、何が止まっているかに気づけないまま日々が過ぎていきます。
そこでこの記事では、次の3つをお渡しします。
・EC運用に発生する業務の全一覧(3領域)
・1日・1週間・1ヶ月のリズムでの業務の組み立て方
・業務ごとに内製向きか外注向きかが分かる分担早見表
先に立場をはっきりさせておくと、この記事は「全部を自社でやる」前提には立ちません。EC運用の業務は、1人で全部を高い水準でこなし続けられる量ではないからです。全体を見える化し、残す業務と任せる業務を分ける。それがこの記事のゴールです。
この章のまとめ:業務は「3領域×頻度」で棚卸しする。まずは次章で、全業務を見える化するところから始めましょう。
ECサイト運用の業務内容【全一覧】|日常運営・売上改善・技術保守の3領域
それでは、EC運用の業務を全部見ていきます。次の一覧は、弊社が運用保守の現場で日々目にしている業務を、3領域に整理したものです。
| 領域 | 業務 | 内容 |
|---|---|---|
| 日常運営 | 受注確認・出荷指示 | 注文内容を確認し、出荷・配送につなぐ |
| 日常運営 | 在庫の反映・欠品チェック | 在庫数を正しく保ち、売り逃しと売り越しを防ぐ |
| 日常運営 | 商品登録・情報更新 | 新商品の登録、価格・説明文・写真の更新 |
| 日常運営 | 問い合わせ・レビュー対応 | お客様からの質問への返信、レビューへの対応 |
| 日常運営 | 返品・交換対応 | 返品の受付から返金・再送までの処理 |
| 日常運営 | バナー・特集の差し替え | 季節やキャンペーンに合わせた売場の更新 |
| 日常運営 | メルマガ・LINE配信 | 新商品・セール情報などの定期配信 |
| 売上改善 | アクセス・売上データの確認 | アクセス数・購入率・客単価などの定点観測 |
| 売上改善 | 課題の洗い出しと優先順位づけ | 数字から弱い箇所を特定し、着手する順番を決める |
| 売上改善 | ページ・導線の改善 | 商品ページやカートまわりの改善 |
| 売上改善 | SEO・コンテンツ | 検索から見つけてもらうための記事・ページ作り |
| 売上改善 | 広告・SNS | 広告の運用、SNSでの発信・接点づくり |
| 売上改善 | キャンペーン企画 | セール・特集などの企画と準備 |
| 技術保守 | カート・テーマ・アプリの更新確認 | システム側のアップデートへの追従 |
| 技術保守 | 不具合・表示崩れ対応 | 「表示がおかしい」「動かない」への対処 |
| 技術保守 | 軽微な改修 | ページの追加やレイアウト調整などの小さな改修 |
| 技術保守 | セキュリティ・バックアップ | 安全に運営し続けるための備え |
数えると17の業務があります。ストアの規模や商材によって濃淡はありますが、「思っていたより多い」と感じたのではないでしょうか。その実感が棚卸しの第一歩です。
なお、EC運用の解説では、集客や商品企画など売上を作る仕事を「フロント業務」、受注処理や在庫管理など店を支える仕事を「バックエンド業務」と2つに分ける整理もよく使われます。業務の性質を理解するには分かりやすい分類ですが、あなたが「どの業務を誰が担うか」を考える場面では、後回しになりやすい売上改善と技術保守を独立させた3領域のほうが実用的です。どちらが正しいという話ではなく、分類の目的の違いです。
Shopifyでストアを運営している場合は、Shopifyの機能に沿って業務を5領域で整理したShopify運用の完全ガイドもあわせてどうぞ。
この章のまとめ:業務の「種類」が見えたら、次は「頻度」で並べ直します。同じ一覧が、ぐっと現実的な形になります。
1日・1週間・1ヶ月のリズムで見るEC運用|担当1名でも回る組み立て方
先ほどの一覧を眺めただけだと、「こんなにできない」と圧倒されてしまうかもしれません。しかし、頻度の軸で並べ直すと景色が変わります。毎日必ずやるべき業務は、実は多くありません。
| 頻度 | 主な業務 | 性質 |
|---|---|---|
| 日次(毎日) | 受注確認・出荷指示/問い合わせへの一次対応/在庫・欠品のチェック | 止めるとお客様に直接影響する |
| 週次(週1回目安) | 商品情報の更新/バナー・特集の差し替え/メルマガ・LINE配信/数字のざっと確認 | 曜日を決めてまとめて処理できる |
| 月次(月1回目安) | 売上・アクセスの分析/改善施策の決定と実行/更新確認・バックアップなどの保守 | 止まっても当日は困らないが、数ヶ月後に効いてくる |
ここで押さえてほしいのが、「止めてはいけない業務」と「後回しにできてしまう業務」の違いです。日次の業務——受注対応や問い合わせ対応——は、止めればお客様の信頼に直結するため、どんな現場でも必ず回っています。一方、分析・改善・保守は、止まっても今日明日は誰も困りません。だからこそ、運用の現場で後回しになるのは決まってこちら側です。そして数ヶ月後に、売上の伸び悩みやトラブルという形で返ってきます。弊社が運用保守の現場で見てきた限りでも、この構図はほぼ共通です。
担当1名で回すなら、リズムの型を決めてしまうのがおすすめです。日次の業務は毎朝の決まった時間に処理し、週次の業務は曜日を固定してまとめて片付ける。月次は「月初に数字を確認→前半に施策を実行→月末に検証」という流れを毎月繰り返す。この型があるだけで、「重要だが緊急でない」業務が流れの中に組み込まれ、積み残しにくくなります。
この章のまとめ:毎日やるべき業務は少ない。問題は、後回しにできてしまう売上改善と技術保守を、どう流れに組み込むかです。
全部を1人でやろうとすると何が起きるか|よくある3つの詰まり方
とはいえ、リズムの型を決めても、1人で全業務を抱えたままではいずれ限界が来ます。ここでは、弊社がご相談の場面でよく見かける「詰まり方」を3つ紹介します。
よくある3つの詰まり方
・①改善が止まる: 日常運営で1日が終わり、売上改善が数ヶ月単位で止まる
・②保守の放置: テーマやアプリの更新を後回しにし、不具合が起きてから初めて慌てる
・③属人化: 業務の手順が担当者の頭の中にしかなく、退職・異動でストアが回らなくなる
①は最も多いパターンです。日常運営は毎日確実に発生するため、真面目な担当者ほど目の前の対応に力を使い切り、「忙しいのに売上が変わらない」状態が続きます。②は技術保守の性質によるものです。保守は何も起きていない間は成果が見えないため優先度を下げられがちですが、止まった瞬間に売上と信頼の両方を失います。③は体制の問題です。業務一覧も手順書もないまま属人化が進むと、担当者の交代がそのままストアの停止につながります。
3つに共通する原因は、頑張り方ではなく「全業務を自社で抱える前提」そのものにあります。解決の方向は分担です。ここでいう分担は、外注だけを指しません。社内の他のメンバーとの兼任分担、アプリ・ツールによる自動化、そして外部への委託。この3つの選択肢を前提に、「残す業務」と「任せる業務」を決めていきます。
この章のまとめ:詰まりの原因は能力ではなく分担設計。次章の早見表で、業務ごとの向き不向きを見ていきます。
内製・外注の分担早見表|商品と顧客に近い業務は残し、専門性で差がつく業務は任せる
ここからが本記事の核です。業務一覧に、「内製向きか・外注向きか・どちらでもよいか」の適性と理由を付けました。分担を考えるときの下敷きにしてください。
| 業務 | 適性 | 理由 |
|---|---|---|
| 商品企画・品揃えの決定 | 内製向き | 商品理解そのものが価値になる |
| 商品説明の核になる文章 | 内製向き | 商品の強み・こだわりは社内にしか語れない |
| 問い合わせ・レビューへの一次対応 | 内製向き | お客様の生の声は改善の源泉になる |
| 値付け・施策の最終判断 | 内製向き | 意思決定は外に出せない |
| 商品登録・情報更新 | どちらでも | 定型化しやすく、量と社内リソース次第 |
| バナー・特集の差し替え | どちらでも | 手順化すれば社内でも外部でも回せる |
| メルマガ・LINE配信 | どちらでも | 企画は社内、制作・配信作業は外部も可 |
| 受注・出荷まわりの定型処理 | どちらでも | 手順化・自動化の余地が大きい |
| テーマ・アプリの更新確認 | 外注向き | 専門知識が要り、社内に担い手を育てにくい |
| 不具合・表示崩れへの対応 | 外注向き | 原因の切り分けに技術力が要る |
| 広告運用 | 外注向き | 専門性で成果に差がつきやすい |
| データ分析の設計 | 外注向き | 見るべき指標の設計は経験の差が出る |
| 撮影・バナーなどの制作 | 外注向き | 品質がストアの印象に直結し、専門スキルで差がつく |
仕分けの軸はシンプルで、「商品と顧客に近い業務は残す。専門性・技術で差がつく業務は任せる」です。商品のこだわりを語る言葉や、お客様の生の声から得られる気づきは、あなたの会社の中にしかありません。ここを外に出すと、ストアから「らしさ」が消えていきます。逆に、テーマの更新や不具合対応、広告運用のような業務は、専門家とそれ以外とで成果に差がつきやすく、社内に担い手を育てるにも時間がかかる領域です。
参考: 弊社の改修枠でよくご依頼いただく業務
・新規ページ構築
・機能実装(アプリ・カスタム)
・サイトレイアウトの変更
・不具合対応
・アプリまわりの修正
いずれも技術保守・軽微な改修にあたる業務で、早見表の「外注向き」とそのまま重なります。外注に向く業務の具体的なイメージとして参考にしてください。
ひとつ大事な注意があります。早見表の「外注向き」は、「外注すべき」という意味ではありません。内製で回っているなら、変える必要はまったくありません。早見表はあくまでスタート地点で、自社の体制と強みに合わせて上書きして使うものです。実際に外注する場合の依頼先の選び方や契約前のチェックポイントは、ECサイト運用代行の解説記事で詳しく扱っています。
この章のまとめ:商品と顧客に近い業務は残し、専門性で差がつく業務は任せる。早見表は自社の状況で上書きして使ってください。
分担を決める3ステップ|棚卸し→残す業務の決定→任せ方の選択
早見表を手にしたら、実際の分担は次の3ステップで決めていきます。今日から着手できる手順です。
分担を決める3ステップ
・ステップ①業務の棚卸し: 全一覧を自社に当てはめ、「回っている/止まっている/誰の担当か不明」の3つに色分けする
・ステップ②「残す業務」を先に決める: 早見表の内製向き+自社の強みが出る業務を、自社の担当として確定する
・ステップ③残りの任せ方を選ぶ: 社内での分担・ツールによる自動化・外注のいずれかを、業務ごとに選ぶ
ポイントは、任せる業務ではなく「残す業務」を先に決めることです。順番が逆になると、「とにかく大変だから」と丸投げに近い外注をしてしまい、商品理解が要る業務まで外に出して成果が出ない、あるいは想定と依頼範囲がずれて揉める、という失敗につながります。外注は、任せる範囲の設計で成否が決まります。
ステップ③で外注を選ぶ場合は、状況に応じて次の記事が参考になります。小さい規模・限られた予算で現実的に外注する方法を知りたい場合は中小企業向けのEC運用外注の解説記事へ。委託範囲ごとの費用感を知りたい場合はEC運用代行の費用相場の解説記事へ。Shopifyで運営していて、そもそも内製と外注のどちらに寄せるか自体を迷っている場合は、内製と外注の判断基準の解説記事が役立ちます。
この章のまとめ:棚卸し→残す業務の確定→任せ方の選択、の順番で。先に残す業務を決めれば、丸投げと範囲のずれは防げます。
コマースラボの場合|Shopifyストアの「任せる業務」の受け皿
ここで、弊社の受け皿も紹介させてください。弊社はShopify専門で、ECサイトの構築40社以上・運用保守20サイト以上を支援してきました。この記事の分担でいうと、「技術保守」と「売上改善の考える部分」を、それぞれ別のプランでお引き受けしています。
コマースラボの継続支援プラン
・運用保守プラン: 月額49,500円(税込)。月5時間の改修枠で技術保守・軽微な改修を実行(手を動かす支援)・契約期間の縛りなし
・マーケティングプラン: 月額49,500円(税込)。月次のデータ分析・改善案の立案(売上改善の「考える部分」の支援)・契約期間の縛りなし
・両方を合わせる場合は、2プラン合計で月額99,000円(税込)
受注対応や商品登録といった日常運営の業務についても、まずはご相談ください。任せたい業務の内容と量をお聞きした上で、対応の仕方とお見積もりを個別にご案内しています。運用保守サービスの詳細はサービスページをご覧ください。
「どの業務を任せるか、まだ決まっていない」という段階でも大丈夫です。分担を決める前の壁打ちには、60分のZoomでご相談いただけるshopifyなんでも相談(22,000円(税込))をご用意しています。棚卸しの整理からお手伝いし、継続的な支援が必要な場合だけプランをご提案します。他社で構築したストアのご相談も歓迎です。
この章のまとめ:早見表で「任せる」に印が付いた業務から、小さく相談いただくのが始めやすい形です。
まとめ・よくある質問|業務の棚卸しが分担の第一歩
この記事の要点
・EC運用の業務は「日常運営・売上改善・技術保守」の3領域×日次・週次・月次で棚卸しする
・止めてはいけないのは日常運営。後回しになりやすいのは売上改善と技術保守
・商品と顧客に近い業務は残し、専門性・技術で差がつく業務は任せる
・任せる業務より先に「残す業務」を決めると、丸投げと範囲のずれを防げる
・早見表はスタート地点。自社の体制に合わせて上書きして使う
Q1. ECサイトの運用は1人でもできますか?
A. 規模によりますが、全業務を1人で高い水準で回し続けるのは現実的ではありません。毎日必ずやる業務を絞り、残りは頻度と優先順位で組み立てたうえで、必要に応じて分担する前提で設計してください。
Q2. どの業務から外注するのがよいですか?
A. 専門性・技術で差がつき、社内に担い手を育てにくい業務——技術保守や広告運用など——から検討するのが定石です。逆に、商品と顧客に近い業務は最後まで残すことをおすすめします。依頼先の選び方はECサイト運用代行の解説記事で解説しています。
Q3. 運用代行にすべて任せることはできますか?
A. 幅広い業務を任せられるサービスもあります。ただし、商品理解・顧客理解が要る業務まで丸投げすると成果が出にくくなるため、「任せる範囲」を自社で設計してから依頼するのが成功の近道です。
業務の棚卸しは地味な作業ですが、分担も、改善も、外注の成功も、すべてここから始まります。まずはこの記事の一覧を自社に当てはめて、「回っている業務」と「止まっている業務」に印を付けるところから始めてみてください。
この記事を書いた人
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濱野 恵太郎(はまの けいたろう) ・Shopifyパートナー ・ECサイト構築40サイト以上 構築から運用・保守まで一気通貫で対応しています。 |
EC運用の業務分担のご相談はコマースラボへ
「どの業務を任せるか決まっていない」という段階のご相談も歓迎です。業務の棚卸しの整理からお手伝いし、あなたのストアに必要な支援だけをご提案します。無理な売り込みはしません。他社で構築したストアのご相談も歓迎です。
