今のカートシステムに限界を感じてShopifyへの移行を考え始めたものの、「商品や顧客のデータはそのまま持っていけるのか」「検索順位が落ちて売上が下がらないか」「移行中にお店を止めることにならないか」——調べるほど不安が増えていませんか。
まず結論から言うと、Shopifyへの移行は正しい手順を踏めば、SEO評価も主要なデータも大きく損なわずに乗り換えられます。ただし「移行できないデータ」も確実に存在し、そこを知らずに進めると公開後にトラブルになります。この記事では、Shopify構築40社以上、そして自社サイト自身のドメイン移転も経験した弊社が、移行の手順・移行できるデータとできないデータ・SEOを落とさないための設定まで、実務目線で解説します。
本記事の内容
Shopifyへの移行 完全ガイド
1.まず結論: 移行成功の3原則
2.Shopifyに移行するメリットと正直なデメリット
3.移行できるデータ・できないデータ【一覧表】
4.移行の手順【7ステップ】
5.SEOを落とさない移行チェックリスト
6.WordPressからのブログ移行の注意点
7.移行の費用と期間の目安
8.コマースラボの移行サポート
9.まとめ・よくある質問
まず結論: Shopify移行を成功させる3原則

読者が一番知りたいのは「何に気をつければ失敗しないのか」だと思います。移行プロジェクトの成否は、ほぼ次の3つで決まります。
移行成功の3原則
・SEOの引き継ぎ設計を最初にやる: URL対応表と301リダイレクトの計画は、デザインより先に決める
・「移行できないデータ」を先に把握する: 顧客パスワードなど移行不可のものを前提に、お客様への案内を準備する
・旧ストアを止めずに並行で作る: 新ストアを別環境で構築・検証し、切り替えは最後の一瞬だけにする
逆に言うと、移行の失敗の多くは「デザイン先行でSEOが後回し」「移行できないデータが直前に発覚」のどちらかです。本記事はこの3原則を実際の手順に落とし込んで解説します。
この章のまとめ:移行はデザインの引っ越しではなく「データとSEO資産の引っ越し」。計画段階でSEOと移行不可データを押さえれば、リスクの大半は潰せます。
Shopifyに移行するメリットと正直なデメリット

移行を決める前に両方を確認しておきましょう。弊社はShopify専門ですが、だからこそ良い面だけを並べるのは誠実ではないと考えています。
移行するメリット
・データを活かしたマーケティングができる: 広告・メルマガ・LINE等と顧客データを連携し、購買データに基づいた施策を打てる
・アクセス分析機能が充実: 標準機能だけで売上・顧客動向を把握できる。弊社は分析だけでも月額費用に見合う価値があると感じています
・ノーコードで編集できる: 使いやすい管理画面で、日々の更新を自社で完結しやすい
・拡張性が高い: アプリの選択肢が広く、成長に合わせて自由に機能を足し引きできる
・業務の自動化が標準機能: Shopify Flowで注文処理や顧客対応の一部を自動化できる
・売上の入金サイクルが早い: Shopify ペイメントなら目安1週間〜10日で入金され、資金繰りが安定しやすい(決済方法等で変動)
・セキュリティ基盤が強固: 世界有数の規模の上場企業が運営する基盤で、対策やアップデートを自社で抱え込む必要がない
・デザインの自由度が高い: ブランドの世界観を表現しやすい
・新しい販路への対応が早い: 越境EC・SNS連携に加え、UCP(AIエージェント経由の購買に対応する共通規格 Universal Commerce Protocol)への対応も進む
正直なデメリット・注意点
・月額費用や決済手数料の体系が変わるため、現在のカートとの比較試算が必要
・国産カートで慣れた機能の一部は、アプリ追加やカスタマイズで補う必要がある
・URL構造がShopifyの形式(/products/ など)に固定されるため、移行時のリダイレクト設計が必須になる
・管理画面の操作感が変わるため、運用担当者の慣れに一定の期間がかかる
そもそも「移行ではなく作り直しか」「どの構築方法を選ぶか」から整理したい方は、構築方法全体を比較したShopify構築完全ガイドを先にご覧ください。
この章のまとめ:Shopifyの強みは拡張性と継続的な進化。一方でURL構造の変化と機能の置き換えは避けられないため、次章のデータ可否の確認が重要です。
移行できるデータ・できないデータ【一覧表】

移行で一番トラブルになりやすいのがここです。「全部そのまま持っていける」わけではありません。主なデータの可否を一覧にしました。
| データ | 移行可否 | 補足 |
|---|---|---|
| 商品情報(名前・価格・画像・説明文) | 移行できる | CSVや移行アプリで一括インポートが基本 |
| 顧客情報(氏名・メール・住所) | 移行できる | CSVインポートに対応 |
| 顧客のパスワード | 移行できない | ハッシュ化されており復元できないため移行不可。お客様に再設定を案内する |
| 注文履歴 | 条件付きで移行できる | アプリ・API経由での取り込みが必要。要件次第で工数が変わる |
| ポイント・クーポン残高 | 原則移行できない | 仕組みがカートごとに異なるため。代替施策(引き継ぎクーポン等)を設計する |
| レビュー | 条件付きで移行できる | 移行元とレビューアプリの対応状況による |
| ブログ・固定ページ | 条件付きで移行できる | 画像パスの張り替え等の手作業あり。WordPressからの移行は6章参照 |
| URLのSEO評価 | 条件付きで引き継げる | 独自ドメイン運用なら301リダイレクトで引き継ぎ可。詳細は5章 |
特に重要なのが顧客パスワードとポイント残高です。この2つは「移行できない前提」で、お客様への告知メール・再設定の案内・ポイント相当のクーポン発行といった移行コミュニケーションの設計を、切り替え日の前に準備しておく必要があります。ここを丁寧にやるかどうかが、移行後の顧客離れを左右します。
顧客情報の移行は「取り込み後のアカウント有効化」までがワンセット
顧客情報をCSVでインポートしただけでは、お客様はまだ新しいストアにログインできません。パスワードは移行できないため、Shopify公式ヘルプでも、お客様をインポートした後にアカウントを登録できるよう新しいパスワードの作成を招待する必要があると案内されています(出典: Shopifyヘルプセンター「顧客リストのインポート」)。ゴールはデータの取り込みではなく、お客様がアカウントを有効化してログインできる状態です。招待・案内メールは切り替えに合わせて送れるよう準備しておきましょう。
また、公式ヘルプでは商品→顧客→注文履歴の順でインポートすることが推奨されています。注文を商品・顧客と正しく紐づけるためです(出典: Shopifyヘルプセンター「Shopifyへの移行」)。順番を誤ると手戻りになるため、段取りに組み込んでおいてください。
移行元カート別の注意点|makeshopなど国産カートからの移行
Shopify公式の移行ガイドで個別に案内されているのはWooCommerce・Wix・Squarespaceなど海外プラットフォームが中心で、makeshop・カラーミーショップ・futureshopといった国産カートには専用の移行ガイドがありません。国産カートからの移行は、次の進め方が基本です。
・移行元カートからエクスポートできるデータの範囲を最初に確認する(カートやプランで異なります)
・書き出したCSVは多くの場合そのままでは取り込めず、Shopifyのインポート形式(CSVテンプレート)に合わせて項目や表記を整形する
・独自ポイントや会員ランクなどカート固有の機能は、上の一覧表の通り「原則移行できない」前提で代替策を設計する
なお、楽天市場などのモール型からの移行の考え方は5章とよくある質問で、WordPressブログの移行は6章で触れています。
この章のまとめ:商品・顧客・コンテンツは移行できる。パスワードとポイントは移行できない。「できないもの」への対応策を先に設計し、顧客移行は取り込み後のアカウント有効化の案内までをワンセットで計画するのが、顧客に誠実な移行です。
Shopifyへの移行手順【7ステップ】

ここからは実際の進め方です。移行は通常の新規構築に「データ移行」と「切り替え」の工程が加わる形になります。
ステップ1: 現状の棚卸しと要件整理
現在のストアの機能・データ量・URL構造・売上導線を洗い出します。「今ある機能を全部再現する」のではなく、移行を機に本当に必要な機能へ絞り込むのが費用と期間を抑えるコツです。
ステップ2: 移行計画とURL対応表の作成
3原則の1つ目です。旧ストアの主要URL(商品・カテゴリ・記事)とShopifyでの新URLの対応表を、この段階で作ります。検索流入の多いページから優先的に対応を決めます。
ステップ3: 新ストアの構築(旧ストアは営業継続)
Shopify側でテーマ選定・デザイン・機能実装を進めます。この間、旧ストアは通常営業のままです。構築工程の詳細はShopify構築の流れと期間の記事で解説しています。
ステップ4: データ移行とテスト
商品・顧客・コンテンツをインポートし、表示崩れ・価格・在庫・リンク切れを検証します。テスト注文で決済から注文メールまでの一連の流れを必ず確認します。「誰が・何を基準に確認するか」を検品リストにしておくと漏れを防げます。
ステップ5: 移行告知とお客様への案内
切り替え日・パスワード再設定のお願い・ポイントの取り扱いを、メールやサイト上で事前に告知します。3章で設計した「できないものへの対応策」をここで実行します。
ステップ6: ドメイン切り替えと301リダイレクト設定
独自ドメインを新ストアに接続し、URL対応表に沿ってリダイレクトを設定します。Shopifyの管理画面のURLリダイレクトは301(恒久的な転送)として処理されるため、SEO評価の引き継ぎに対応できます。件数が多い場合はCSVでの一括登録が便利です。
ステップ7: 公開後の監視と調整
切り替え後は、検索順位・流入・エラーページ(リンク切れ)を継続的に監視します。具体的なチェック項目は次章のチェックリストにまとめました。
この章のまとめ:移行の本番は「切り替えの一瞬」だけ。それまでは旧ストアを止めずに並行で準備を進めるのが、売上を止めない移行の基本形です。
SEOを落とさない移行チェックリスト【コマースラボの実体験】

正直に言うと、弊社はこのテーマを机上の知識だけで書いていません。弊社自身が社名変更に伴い、自社サイトを旧ドメインから現在の commerce-lab.jp へ移転した経験があります。301リダイレクトとサーチコンソールの移転手続きを実際にやり切った立場から、チェックリストをまとめます。
SEOを落とさない移行チェックリスト
・検索流入の多いページを把握し、URL対応表に漏れなく含めたか
・301リダイレクトを主要URL全てに設定したか(設定後に実際にアクセスして確認)
・タイトル・メタディスクリプションを新ページに引き継いだか
・Googleサーチコンソールに新サイトを登録し、サイトマップを送信したか
・ドメイン自体を変える場合は、サーチコンソールの「アドレス変更ツール」で移転を申請したか
・旧ドメインの契約を解約せず、リダイレクトを維持し続けているか
・移行後、検索順位と流入を定点観測しているか
特に見落とされがちなのが最後の2つです。ドメインを変える移行では、Googleのヘルプによれば、アドレス変更ツールによる移転のシグナルは180日間処理されます(出典: Google サーチコンソール ヘルプ「アドレス変更ツール」)。さらにGoogleの「サイト移転」ドキュメントでは、リダイレクトをできるだけ長く、一般的には1年以上保持することが推奨されています。つまり旧ドメインは移行後すぐに手放してはいけません。弊社も旧ドメインの契約とリダイレクトを移転後も維持し続けています。
なお、正しく設定しても切り替え直後は順位や流入が一時的に変動することはあり得ます。慌てて設定を触らず、リダイレクトの網羅性とサーチコンソールのエラーを確認しながら定点観測を続けてください。
また、楽天市場などのモール内店舗からの移行では、店舗URLがモールのドメインに属しているため、この方法でのSEO評価の引き継ぎはできません。この場合は「評価の引き継ぎ」ではなく「新規ドメインでの立ち上げ」として、コンテンツとSEOを一から設計する前提で計画します。できないことをできると言わないのが、この記事の立場です。
この章のまとめ:SEO維持の鍵は「301リダイレクトの網羅」と「サーチコンソールでの移転処理」、そして「旧ドメインを保持し続けること」。モール型からの移行は評価引き継ぎ不可のため、戦略自体を切り替えます。
WordPressからのブログ移行は「そのまま」は難しい

「WordPressで運営してきたブログも一緒に移したい」というご相談は多いのですが、注意が必要です。WordPressとShopifyブログは仕様が大きく異なるため、今の形をそのまま引っ越すことは基本的にできません。できること・できないことを整理します。
移行できること
・記事タイトル・本文・画像の移し替え(件数が多ければアプリ経由のCSVやAPIで一括処理)
・記事ごとの旧URLから新URLへの301リダイレクト(5章のチェックリストを適用)
・タイトルタグ・メタディスクリプションの再設定
そのままは移行できない・大きく変わること
・カテゴリー設計: Shopifyブログには親子カテゴリーの階層がなく、「ブログ」単位とタグで分類します。階層構造は再現できないため分類の再設計が必要です
・デザイン・テーマ: WordPressテーマは流用できず、ブログのデザインはShopifyテーマ側で作り直しになります
・プラグイン相当の機能: 目次生成・関連記事表示などは、Shopifyではアプリやテーマ実装で代替を検討します(完全に同等とは限りません)
・URL構造: 記事URLは /blogs/ を含むShopifyの形式に固定されるため、全記事でリダイレクト設定が必須です
現実的には、記事数が多い場合は成果につながっている記事に絞って移行する取捨選択も有効です。EC本体だけShopifyに移し、ブログはWordPressのままサブドメイン等で並行運用する選択肢もあり、無理にすべてを移すことはおすすめしません。
この章のまとめ:ブログ移行は「記事の中身は移せるが、器(カテゴリー・デザイン・プラグイン)は作り直し」。全記事移行にこだわらず、成果記事への絞り込みやWordPress併用も含めて設計するのが現実解です。
Shopify移行の費用と期間の目安

移行の費用は「新規構築の費用」に「データ移行・リダイレクト設定・移行検証」の工数が上乗せされる構造です。金額はデータ量と機能の再現範囲で大きく変わるため、内訳の考え方はShopify構築費用の相場記事を参考にしてください。見積もりを取る際は、次の3点が費用を左右します。
・移行するデータの種類と量(特に注文履歴・レビューの有無)
・リダイレクト対象URLの件数
・現行機能をどこまで再現するか(絞り込むほど安く早くなる)
期間は、他カートからの移行を含む構築の場合で3ヶ月〜半年程度が目安です(通常構築より移行・検証の工程分だけ長くなります)。また、移行は通常の構築以上に依頼先の経験値で差が出る領域です。依頼先選びの基準はShopify制作会社の選び方の記事で詳しく解説しているので、商談前にご覧ください。
この章のまとめ:移行費用は「データ量×リダイレクト件数×機能再現の範囲」で決まる。期間は3ヶ月〜半年程度を見込み、余裕のあるスケジュールで計画してください。
コマースラボのShopify移行サポート

弊社はShopify専門で構築40社以上・運用保守20サイト以上の実績があり、他カートからの移行を含む構築にも対応しています。
コマースラボの移行サポートの特徴
・URL対応表と301リダイレクト設計を含むSEO引き継ぎ前提の移行計画
・移行できないデータへの対応策(告知・再設定案内)まで一緒に設計
・自社サイトのドメイン移転を実際に経験した実務ノウハウ
・一押しは「まるっとプロにおまかせプラン」550,000円(税込)。移行要件はヒアリングの上でお見積もり
・公開後は運用保守プランで継続サポート可能
移行は「作って終わり」ではなく、切り替え後の監視と調整までがワンセットです。公開後の伴走体制についてはShopifyの運用保守の解説記事もあわせてご覧ください。サービスの詳細はShopify構築サービスのページに掲載しています。
この章のまとめ:弊社の移行サポートは「SEO引き継ぎ設計」と「移行できないものへの顧客対応設計」を最初にやるのが特徴です。移行の不安な点は、検討段階からお気軽にご相談ください。
まとめ|Shopify移行は「引き継げないもの」から設計する

Shopifyへの移行を、手順・データ・SEOの3つの軸で解説してきました。
この記事のまとめ
・移行成功の3原則は「SEO設計が先」「移行不可データの把握」「旧ストアを止めない並行構築」
・顧客パスワードとポイントは移行できない。対応策の事前設計が顧客離れを防ぐ
・SEOは301リダイレクト+サーチコンソールの移転処理+旧ドメイン保持で引き継ぐ
・モール型からの移行はURL評価を引き継げないため、新規SEOとして設計する
・期間は移行を含む構築で3ヶ月〜半年程度。余裕を持った計画を
よくある質問
Q1. 移行にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 他カートからの移行を含む構築で3ヶ月〜半年程度が目安です。データ量・リダイレクト件数・機能の再現範囲によって変わります。
Q2. 顧客はそのまま今まで通りログインできますか?
A. いいえ。顧客情報(氏名・メール・住所)は移行できますが、パスワードはハッシュ化されており復元できないため移行できません。切り替え後に再設定をお願いする案内が必要です(事前告知とセットで計画を)。
Q3. 楽天市場などのモールからでも移行できますか?
A. 商品情報などのデータ移行は可能ですが、店舗URLがモールのドメインに属しているため、SEO評価の引き継ぎはできません。自社ドメインでの新規立ち上げとして、コンテンツ・SEOを一から設計する前提で計画します。モールと並行運営する選択肢もあります。
Q4. 移行中はお店を閉める必要がありますか?
A. 基本的に不要です。旧ストアを営業したまま新ストアを構築し、最後のドメイン切り替えだけ短時間で済ませるのが標準的な進め方です。
この記事を書いた人
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濱野 恵太郎(はまの けいたろう) ・Shopifyパートナー ・ECサイト構築40サイト以上 構築から運用・保守まで一気通貫で対応しています。 |
Shopifyへの移行のご相談はコマースラボへ
「今のカートから乗り換えたいが、何から手をつければいいか分からない」——そんな段階のご相談も歓迎です。弊社は自社サイトのドメイン移転を経験しており、SEOを落とさない移行計画からデータ移行、公開後の監視まで一気通貫でサポートします。移行できるもの・できないものは正直にご説明します。
